お知らせ

2023年9月4日 | 未分類
マウスピース型矯正治療の顎間ゴム

顎間ゴムとは

 マウスピース型矯正治療では、プラスティックのマウスピースの装着のみで歯を動かすことは難しく、治療終盤ではほとんどの患者さんに顎間ゴムを使ってもらうことになります。顎間ゴムの素材はラテックス(天然ゴム)や熱硬化性ポリウレタンゴムで、非常に弾性があります。強さは内径や太さによって調整します。ただし、ゴムもだんだんと劣化していくため、矯正力が変化しわらないよう1日1回新しいものに交換してもらう必要があります。

 マウスピース型矯正治療では、1日20時間以上マウスピースを使用することにより歯を動かすため、マウスピースの厚み分の1.0mm程浮いた状態になりやすく、上下の歯が咬み合わさりずらくなることがよくあります。よって上下の歯を垂直方向に引く力をかけることができる顎間ゴムにはとても重要な役割があるわけです。

 ワイヤー矯正治療では、まず、細いワイヤーで歯ならびのガタガタをとるステージ(レベリング)の後、太いワイヤーが入る治療の中盤から終盤にかけて顎間ゴムを使用していきます。一方、マウスピース型矯正治療では、レベリングとスペースの閉鎖を同時に行なっていくため治療初期からも顎間ゴムを使用していきます。(当院では、治療開始から1か月後に必要に応じて使用開始します。)

使用方法

 マウスピースの切れ込み(プレシジョンカット)や歯につけるボタンにゴムをかけて歯を動かしていきます。ボタンの種類は数種類あり、かける方向をみて選択します。また、途中で顎間ゴムを使用する場合、マウスピースの切れ込みを患者さんにお願いすることもあります。ゴムの強さの選択やかけ方は毎回診察時に歯の動きを確認して担当歯科医が決めて使用します。

 顎間ゴムを初めて使用する場合は、患者さんに練習が必要になることもあります。ゴムを指で引っ張ってかけることもできるのですが、エラスティックホルダーという専用器具で奥の歯から手前に引っ張るとかかりやすいです。慣れてくるまでは鏡の前で着脱をする方が確実です。顎間ゴムは着脱が少し面倒なのですが、ゴムが上下の歯並びにかかったままだと口が大きく開かないため食事ができませんので、毎食時外してもらう必要があります。また、人前で話をするお仕事をされている場合は、やや不便になるためゴムを外してことになります。

使う目的

 顎間ゴムは様々な目的で使用します。患者さん毎に歯並び、骨格、歯の動き方は異なるため、ゴムのかける位置によって目的が変わります。主に以下の作用があります。

  • 抜歯空隙閉鎖や奥歯の後方移動などの固定源
  • 歯を歯茎から引っ張る
  • 上下の奥歯の噛み合わせをよくする
  • 前歯の正中線をそろえる

ゴムのかけ方の種類

II級ゴム

上の奥歯を奥に移動したい場合や奥歯を動かさずに前歯を内側に引っ張る場合に使います。上の前歯と下の奥歯にゴムをかけることで、上の前歯を固定源に奥歯を動かしたり、上の奥歯を動かさずに前歯を引っ込ませることができます。

III級ゴム

II級ゴムと上下反対の動きをします。下の奥歯を遠心移動する場合や動かしたくない場合に使うことが多いです。上は奥歯、下は前歯にゴムをかけることで下の前歯を固定源にして奥歯を動かしたり、下の前歯を内側に倒して受け口が改善します。

交叉ゴム

上下の噛み合わせを横方向に改善したい場合に使います。舌側にボタンをつけるためややゴムかけが難しくなることが多いです。

挺出ゴム

隣の歯と比較してゴムをかける歯が上下方向に引っ込んでいる場合に使います。歯を上下方向に引っ張るために1本の歯の唇舌側(唇側と裏側)にマウスピースをまたいでゴムをかけます。

垂直ゴム

上下の歯を両方一気に出したいときに使います。真っすぐスパゲティーのようにかけるときと、三角形の形でかけるときがあります。

注意点

 食事や歯磨きの際には邪魔になるため取り外しが必要になるため、マウスピースの取り外しの際に外す手間増えることになります。使用時間が不足していると狙った歯の動きを獲得できないため、必ず担当医の指示通り使用するようにしてください。治療途中にゴムをかける位置が変更になることがあるため、毎回、ゴムを継続するのか変更するのか指示をうけてください。ゴムかけをしていると顎が疲れてくることがあります。症状が重い場合はゴムかけを中止することもありますので担当医にご相談してください。