アライナー型矯正装置の治療指針の解釈【3】
公益社団法人日本矯正歯科学会から2017年に、日本矯正歯科学会会員の矯正歯科医によってマウスピース型矯正装置についてまとめた「アライナー型矯正装置の治療指針」が一般公開されています。
この治療指針は、マウスピース型矯正装置(インビザライン・薬機法対象外など)の矯正歯科治療において至極当然の大事な事が記載されています。今回はマウスピース型矯正治療における留意点について読みときます。
治療における留意点について
1) 効果は装着時間に影響される
2) 傾斜移動が多い
3) 抜歯症例では、予期しない移動が発生することがある
4) 術前のシミュレーションには歯根の位置に関する情報が欠けている
5) 歯冠形態によっては把持力に差異を生じることがある
6) 咬合面を覆う形態のため、臼歯部が圧下されることがある
7) 保険診療には使用できない
<アライナー型矯正装置による治療指針>
以上についてわかりやすいように説明していきます。
1)効果は装着時間に影響される
これは非常に当たり前の内容です。普通のワイヤー型矯正治療の場合は固定式のため、歯を動かす矯正力が一日中加えられています。一方、マウスピースの場合は、装着時しか矯正力は発生しておりません。しっかり使用しても食事や歯磨き時はマウスピースを外しているわけですので、1日20時間程度が限界です。これに、会食や装着のし忘れの時間などが加えられると、段々と装着時間は少なくなっていきます。当然、歯が正しく予定通りに動かなくなってしまいます。
2) 傾斜移動が多い
マウスピースは歯の上部部分である歯冠のみをつかんで矯正力をかけます。ですから、歯茎に埋まっている部分である歯根には力がかかりづらく、どうしても倒し込み移動である傾斜移動になりやすいです。マウスピース型矯正装置でもアタッチメントという突起物を歯につける事で複雑な力を発生させ歯根も動かす事もできますが、どうしてもワイヤー型矯正装置より弱い力になってしまいます。ですが、矯正治療で全ての治療で歯根を大きく動かす必要があるわけではありませんので、「傾斜移動が多い=治療結果が悪い」という事ではありません。